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昼間はやっぱり暑い。
ハンモックで寝るか、天然プールで泳ぐか、ビーチで泳ぐか・・・はるかここまで来て、この生まれて初めて見る黒い川で泳がずに帰るわけにはいかない。しかし、抵抗がある。このあたりに人も住んでいないし、水はきれいなはずだ。でも、色が黒いというだけで、知らず知らずのうちに結構心理的に抵抗があるものだ。でも、泳がないわけにはいかないのだ!
とりあえず天然プールへ行く。湧き水といっても森の水の木の葉を網で止めて、そこから段階的に水を流しているだけのようにも見える・・・幾つものプールを作ってあるが下の方の2つぐらいはまだ増水中の水の下だ。ここもやっぱりコカコーラ。おそるおそる浸かってみる。冷たい。胸の辺りまで水に浸かっているのに、自分の足がよく見える。ホントに透き通っている。ただコーラ色なのだ。入ってみれば入れるものだ!やったね。アマゾンの森の水に浸かったね。大丈夫じゃん!何かいるかもしれないけど、とりあえず足が見えてるよ。さて、こうなったらこの勢いで川にも行くしかない。行こう、今!
プールにいたおじさんを誘って連れ立って行く。これももう一つのハードルだ。この川ではこの前ワニ狩りもしたし、ピラニアも釣りに行った。イルカだって泳いでた。透明度は湧き水ほどはないから、30センチ下ぐらいまでしか見えない・・・行くしかない!行くぞ!・・・・・・・・・・・暖かいじゃん・・・平気だよ!結構気持ちいい。水はきれいだし、下は砂浜の延長だ。え〜い!こうなったら泳いでしまえ。
そのとたん、大きな開放感が私の胸に広がった。ほんとにたわいもないことなんだけど、私はひとつ乗り越えちゃったのだ。あはは。ちょっとした恐怖感を克服した後のなんともいえない達成感と自由な感覚が、愉快で愉快で、愉快で、愉快で、ただ泳いだ。
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夜のジャングルは、サイズがふたまわりぐらい膨張する。
バンガローへの道を食堂から懐中電灯を持って歩くだけでも、どきどきする。月明かりに照らされた道の脇の草木は、昼間の倍ぐらいの大きさになって私のうえに覆いかぶさってくる。トカゲの立てる音に驚き、ライトを向けると、その存在感に圧倒されライトを向けたことを後悔するのだ。
ワニ狩りに行くのは夜だ。
夜はワニの目が懐中電灯に照らされると赤く光るから見つけやすいからだ。最初の晩ワニ狩りツアーに出たけれど、モーター付カヌーで数人が乗り込みみんなで懐中電灯を照らして探す。そんなんで見つかるわけないんじゃないの?音もうるさいし、ぜんぜん色っぽくない!!!
最後の晩、もう一度ワニ狩りツアーに行くかといわれて断った。モーターは嫌いじゃ!
ビーチで南十字星を探しながら空を見上げてうろうろしていると、手漕ぎカヌーが帰ってきた。これでだったら、ワニ狩り行きたいな〜などといいながらうろうろしていると、ボート漕ぎ係のアマゾニアンが暇だし連れて行ってやろうか?と言う。いや、言ったようだ。ポルトガル語だからよくは通じないが、コミュニケーションは成り立った。ジャングルで二人か。ちょっと不安がよぎったけれど、まあ、こいつらも夜中のジャングルで襲い掛かりはしないだろうし職もなくしたくないだろう、と思い、というか、そっちの危険度数より手漕ぎで森の中に行きたい度数の方が勝ったと判断し、乗せてもらうことにした。
夜中の黒い川に漕ぎ出す。
真っ暗だ。
時々ライトで水際を照らしながら行く。照らし出された水際は、その上の木をすべてその水面に映し出し、森は3倍ぐらいの大きさに膨張する。映し出されないところは永遠の闇につながり、森は無限大になる。水面が揺れ、木々も揺れ、怪しく、美しい。
手漕ぎカヌーは静かに森の中に入って行く。
この前はモーターだったから、森の中には入れなかった。ジャングルの中の夜は真っ暗だ。ただただ暗い。ライトがなければ漆黒の中にたたずんでいる自分の空間的な所在さえ心許なくなる。次の瞬間不安が横切る。タランチュラが落ちてきてもわからないではないか!!!思わずライトをつけると、消して気配を感じろ、とアマゾニアンが言う。ああぁ、お前よりタランチュラの方が危ないんだったよな〜ウロウロしてて変な木に触ったらどうするんだよ〜今は装備が甘いんだよ〜。いまさら言ってももう遅い。えぃままよ。心を沈めてワニにチューニングだ!
時々ライトをつけながら進んで行くとアマゾニアンが何か見つけたらしい。照らして何か言っている。何々?カエルじゃん!でも、カエルだからと言って侮ってはいけない。毒蛙もいるのだ。それがうまくポルトガル語で聞けない。こっちに来て写真を撮れ、と言っている。OK,OK。何枚かとった後、なんだか、雰囲気が変。真っ暗にして、何か話しかけてくる。私と向かい合おうとする。おいおい、お前は前向くんだろ?何言ってるんだよ、え?ベチャベチャ?げっ!やっぱり来たよ、来た来た来た。キスしようだって。バ・カ・モ・ノ!!タランチュラと毒蛇の中でそんなことやってられないんだよ〜〜〜〜!でも、ここは怒ったらだめ。こんなところで怒らせたらおしまいだ。笑って、いやだよ〜、と切り返す。ここで押し倒しはしないだろう。何とか切り抜けないと。とっさにライトをつける。消してよ、という。怖いからいやだよ〜アナコンダが来るよ〜。う〜ん、アナコンダに巻きつかれる前にこいつに巻き付かれるかも・・・。でも、基本的に気のいいやつらでプラス臆病なはずだ。笑って、押し返す。何やってんのよ〜だめだめ!ワニみつけるんでしょ?ワニ!!あくまでも明るく押し返す。でも、しつこい!!しつこいのもアマゾニアンの性質らしい。突如、泣き落としにかかることにする。カサ・ポルファボール(おうちにつれて帰って〜)! すると、OK,OK・・・ なんとアナコンダアマゾニアンは、私から離れて前を向いて漕ぎ出してくれた。。。はぁ〜〜〜よかった。
帰るのかと思いきや、アマゾニアンはワニを探しているようだ。あちこちを照らし、ジャングルの中を進む。私もまじめに探す。すると、小さな滝の音がする。あれ?これって天然プールの音じゃない?と、ライトでプールの横にあるベンチが浮かび上がる。何だよ、バンガローの裏じゃん!そこでカヌーをユーターンしてとたん、ライトの行く手に赤い光が!!!!ワニだ!!!アマゾニアンはそれに向かって漕ぎ出す。赤い目がこっちを見る。二つの赤い目に光を当てて見失わないようにして近づいていく。見えた、いた、小さなワニが水際にいる!これなら捕まえられるかも。そ〜っとカヌーがワニに近寄るも、何故かワニは逃げない。

アマゾニアンはカヌーに乗ったまま、首の辺りをさっと捕まえる。ワニがキーキーと鳴いた。
マジ、ワニだ! ミニチュアだけどワニだ。たぶん1歳ぐらい。やるじゃん、アマゾニアン!ワニ君を掴み、写真を何枚か撮った後、そのまま水に返してやった。でもママイがいなくてよかったかも。
アマゾニアンと私は黙ってジャングルを進み、川へと戻る。
満天の星が私たちを、おかえり〜と迎える。緊張感が一気に溶ける。アマゾニアンが、星がきれいだね、という。とってもきれいだね、と私が答える。
カヌーは静かにビーチに戻ってきた。降りる時、あんた、すごいね、とってもよかったよ、と声をかけると、アマゾニアンはうれしそうな声で、ありがとう、って答えた。
星空の夜、星も見えないジャングルの中、手漕ぎカヌーに乗ったアマゾニアンと私がワニを見つけたのは、なんと今日入った天然プールのすぐ裏だったのだ・・・



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