オレンジ色の憎いやつ


トゥッカーノ・・・・ブラジルのマスコット的な余りにも有名な鳥だ。黄色オレンジの大きな嘴と白い顔に丸い大きな青い目、全身は対照的な真っ黒な派手な鳥だ。和名が「オニオオハシ」という。鳥の名前で「オニ」とついているものは大きいという意味合いが含まれている。その反対に「ヒメ」が小さい意味。名は体を表す・・・・大きな嘴をもった大型の鳥。現地名もトゥカンヌスと呼ばれている。トゥピー・グァラニー語のトゥッカーノとアスー(大きい)を合わせた言葉でやはり大きなオオハシだから和名もまんざらではないね。この仲間は、ブラジルでは大小合わせて20種前後生息している。大型4種が「トゥッカーノ」で小型16種が「アラサリー」(和名チュウハシ)と呼ばれている。パンタナールにはオニオオハシと小型のチャミミチュウハシの2種のみが生息している。 

大半の観光客は僕にこう質問する。「オオハシは見られますかね〜?」サル返答。「いや〜皆さんの日頃の行いが良ければきっと出てきてくれますよ!それとですね、あまり欲を前面にだしてフィールドに出ると動物は引いてしまいますから、無欲無心で行動して下さい!野生動物の気を感じるにはこちらの気を消さないといけないのです!」と真面目な顔で返答すると、皆苦笑いをしておとなしくなる。

でも、まんざら冗談ではないのだ。フィールドで動物を追跡する時は、五感を最大限に働かせ、普段使われていない第六感(これを理力「フォース」と呼ぶ人もいる)を使う。森歩きに慣れると動物が居る場所に入った瞬間に空気の流れというか全体の雰囲気が違うのに気付くようになる。

本来、我々ホモサピエンスはそれらの能力を皆備えていたはずなのだ・・・・でも物質文明の生温い生活でその能力は失われていった。だから失われた能力を求める為に人々は森や川に、大自然の中に帰りたがる。本能が動かしているんだな、きっと。

その「ものの気」感じる快感に気付いてしまった人は僕のようにサルとなって先祖帰りして都会の生活が出来なくなるのだろう・・・・。 

かなり脱線してしまった。話は「オニオオハシ」だ。最近腐った体に鞭打つ為に町に居る時は早朝散歩をすることにした。わが町ポコネは北パンタナールにもっとも近い町だけあって野鳥も沢山見られる。専門のフィールドスコープで観察すればパンタナールに匹敵する数は見られるはずだ。わずか1時間の散歩で目視出来るのは30種前後。自宅から5分でオオハシやインコ類が見られるし、時々我家の上空を大型のコンゴウインコが鳴叫びながら飛んでいく。

このオオハシは見た目が派手で愛らしいことから、性格もおっとりとして果物しか食べない優しい鳥なんだ、と大方の日本人は勘違いしている。しか〜し、実際は見た目の美しさとは正反対で鳴声はゲッーゲッーと機械音のようなとても綺麗とは言えない声を発し、食性は雑食、性格は獰猛・・・・見事に観光客の期待を外してくれる。もしかするとワシやタカなどの猛禽類よりも食べ方は残酷かもしれない。

自分よりも小さい鳥の巣に突入して卵や雛を丸呑みし、酷い時は大きな嘴でひなの首をチョッキンと切断してしまう。そんな様子を何度か目撃したことがある。

でも、その反面人には結構慣れやすいみたいで、ロッジなどでは小鳥に上げる餌台にきてはドッグフードを摘んで上に投げてパックリ上手にキャッチする器用なことする個体も見かける。

ま、結局は観光客を期待させ、現われては皆を喜ばせるスターであることには間違いない種だ。しかし、あの大きな嘴は自然界ではどんな役にたっているのだろうと、いつもながら考えさせられる。ほんとトゥッカーノって不思議な鳥だよね。

by サル 2007年9月

 

 

 

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